導入事例

コンパクトで自由に持ち運べるタブレットの導入で授業用PCの稼働率と児童の学習意欲が向上

美濃加茂市教育委員会様

導入モデル:ICONIA W510P〈タブレット〉

タブレット 学校・教育

岐阜県南部に位置する美濃加茂市では、市内の全小中学校のパソコン教室を撤廃し、児童生徒が普通教室でタブレットを使用する取り組みを進めている。その一環として、平成25年8月、エイサーの「ICONI W510P」を小学校2校に導入。脱着式キーボードを付属する本機の採用により、タブレットスタイル、ノートスタイルそれぞれの長所を活かした、多様な活用を可能にした。今回の導入経緯を、美濃加茂市教育委員会 学校教育課 就学指導係長の北野智崇氏に伺った。

前年度のタブレット導入で明らかになったキーボードの必要性

美濃加茂市教育委員会

美濃加茂市は昭和29年、岐阜県南部の8か町村が合併して誕生した。北は飛騨や奥美濃への玄関口に位置し、南に木曽川が流れる同市は、自然豊かな景勝地として知られるだけでなく、古くから陸路・水路の交通の要衝として発展。その名残である中山道の宿場町・太田宿は、人気の観光名所のひとつになっている。また、製造業を中心とする産業が盛んであるとともに、そこに携わる就労者をはじめとする外国人居住者の数も多く、多文化共生社会の実現に向けた取り組みにも力を入れている。
そんな美濃加茂市において、地域と市民が一体となった"子どもを育てるまちづくり"を進めている美濃加茂市教育委員会。教育現場でのICT機器の活用も積極的に推進し、岐阜県内でもこの分野の先駆者的存在になっている。

美濃加茂市教育委員会美濃加茂市教育委員会 学校教育課 就学指導係長
北野 智崇氏

小学校のパソコン教室に設置していたデスクトップPCがリース契約の満了期を迎えていた美濃加茂市では、更新にあたり、PCの導入・活用の在り方を根本から見直す必要を感じていた。最大の課題は稼働率の向上。PCを利用する際は、パソコン教室まで出向かなくてはならないため、稼働率は高くなかった。そこで平成24年度にまず、市内の2つの小学校でパソコン教室を廃止。導入機を、普通教室や屋外にも持ち出して使える、国産メーカーのタブレットに切り替えた。この変更により、稼働率は目に見えて上昇したが、懸念事項として挙がったのが、導入機にキーボードが付いていないことだった。PCの基本操作の習得という観点では、キーボード入力も大事な学習のひとつだが、タイピングができない。また、すでにキーボード入力を習得している児童にとっては、タッチ入力よりタイピングの方が作業がスムーズに進められるが、それもままならない。実際に利用が進むなかで、こうした意見が多数寄せられ、キーボードの必要性を痛感していた。

スタイラスペン、キーボードの付属と、優れたコストパフォーマンスが決め手

美濃加茂市教育委員会キーボードとスタイラスペンの導入で操作性が大幅に向上。児童の学習効率もより高くなった。

タブレット導入2年目にあたる平成25年度、新しい導入機の選定で最重視したのが、タブレットとしてもノートPCとしても活用できる仕様だった。具体的な内容について北野氏は、「漢字の書き方なども学ぶ小学校では、指ではなく、鉛筆の感覚で使えるスタイラスペンの付いたタブレットであることが、必須条件でした。また、現場の声を反映させた、キーボードも装着可能という要件は、昨年度からの最も大きな変更点として新たに加えました。」と語る。こうした要件に基づいて仕様書を作成し、入札を募った。

入札を経て導入機に選んでいただいたのは、エイサーの「ICONIA W510P」だった。要求する仕様を満たしていたことはもちろん、優れたコストパフォーマンスが採用の一番の決め手となった。最大18時間というバッテリーの駆動時間の長さも大きなポイントだった。「昨年度の導入機はバッテリーの持ちがあまり良くなく、こまめに充電する必要があったため、一晩の充電で朝から6時限目まで安心して使えるものを望んでいました。」と北野氏。そして、新たに小学校2校に、それぞれ児童用40台、教師用6台の本機を導入した。

タブレットが多彩なPC活用法を実現。児童の集中力もUP

美濃加茂市教育委員会タブレットや電子黒板を活用した授業を受ける児童の目は真剣そのもの。今後は様々な授業で活用されていくだろう。

エイサーのタブレット導入後は、パソコン教室まで足を運ばずに使える利便性と、軽量かつコンパクトな持ち運びやすさでPC稼働率が大幅に向上した。これまでPCの使用が難しかった低学年クラスでも、タッチ入力による利用が可能になったうえ、中・高学年クラスではキーボードでのタイピング練習もできるようになった。教室では、電子黒板や書画カメラ、そしてデジタル教科書などのアプリケーションを活用した授業が行われている。教育系アプリケーションの大半はWindows系ソフトだが、Windows 8搭載の「ICONIA W510P」ならスムーズに対応でき、過去にWindowsで作成したデータや教材をそのまま活用できるメリットも大きい。

そして何より、北野氏が本機導入の成果と強調するのが、児童たちの授業への集中力の向上だ。「紙ベースの教科書だけでは飽きてしまう児童もいますが、タブレットに映像や音声が流れると、明らかに学習意欲が高まっていると感じます。」また、自由に持ち運べるタブレットの特長と本機搭載のカメラ機能を使って、新たな活用方法も生まれた。例えば、体育では実技を動画で撮影し、10.1インチの見やすい画面でフォームを細かくチェック。図工では、屋外で撮影した風景写真をもとに教室でゆっくり風景画を描く、といった使い方も実践されている。こうした校外利用時にも、大容量バッテリーが活躍している。

タブレットのさらなる稼働率の向上を目指す

美濃加茂市教育委員会「沢山の先生方にタブレットの有用性を知っていただきたい」と語る北野氏。

導入からまだ数ヵ月だが、更なる活用が可能と、北野氏は予測する。「タブレットは持ち運びやすいので、動画や写真撮影などの機能を駆使した利用法は今後ますます増えるでしょうし、キーボードは、ローマ字学習の際に児童がアルファベットを打ち込み、正しく綴れたかを自分でチェックする、といった使い方もできるでしょう。工夫次第で活用法は無限に広がると確信していますから、まずは先生方に有用性を実感していただくことが第一です。そのためにも、導入校での成功事例の収集と情報提供、ソフトの使用法などの研修を積極的に行い、今以上に稼働率を上げていきたいと考えています。」

今後は市内すべての小中学校への導入実現に向け、毎年度2校ずつ導入校を増やす計画だ。脱着式キーボードを備えたタブレットは、中学生の教育ニーズにも充分に応えてくれることだろう。さらに、外国籍児童の割合が1割を超える公立校もある美濃加茂市では、外国籍児童向けの日本語教室も用意しており、このような一般授業以外でのタブレットの有効活用にも、大きな期待を寄せている。

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