ノートPCよりも手軽に持ち運べるWindows® 7 搭載端末が庁内の業務環境と住民サービスの向上に貢献
熊本県水俣市役所様
導入モデル:ICONIATAB-W500P2〈タブレット〉
事務効率の改善による行政サービスの向上を低コストで実現すること。それが熊本県水俣市における情報化の主眼だ。IT活用をさらに推進するために同市が導入を決めたのが、Windowsを搭載したタブレットだった。ノートPCよりも優れた操作性により事務効率が向上。住民サービスの質を高めると期待されている。
従来型のPCに代わる新しい端末として利用を期待
熊本県水俣市は、水俣病という公害を経験して得た教訓をもとに、日本で初めて「環境モデル都市づくり宣言」を行うなど、環境政策に力を注いできた。
例えば、環境ISO14000を参考にした「家庭版ISO」や「学校版ISO」が挙げられる。これは、家庭や学校において、環境負荷の軽減、資源の有効活用、二酸化炭素排出量の削減など、環境保全に関する取り組みを5項目以上実施すると市長の認定が得られる独自の制度だ。さらに最近では、九州新幹線の全線開業に伴う地域経済振興に向けて、観光資源の再生や官民協働のまちおこしも活発に行っている。中でも、市職員と市民の有志が主催する、市内の菓子店をめぐる「スウィーツスタンプラリー」は、市外からの参加者が増えており、水俣のイメージアップにつながっている。
前例のない新しい取り組みや、柔軟な発想によるユニークな施策を行ってきた同市では、ITの活用においても特徴的な取り組みが見られる。例えば、2006年に全庁で導入したシンクライアントだ。
導入を検討した当時、シンクライアントの大規模導入の事例は、自治体に限らず企業においてもごくわずかだった。しかし、端末の管理コストの削減やセキュリティ強化に効果があると判断して、前例の少ない新しい技術であっても積極的に取り入れたという。
さらに、やはり自治体では導入の前例がほとんどなかった、オープンソースの無償オフィスソフト「OpenOffice.org」も導入しており、コスト増を抑えながら、セキュリティの強化とIT環境の充実を実現している。
そして、IT環境の充実において、現在期待されているのがタブレットだ。同市で情報システムを担当する総務企画部総務課の宮原明寿氏は、「シンクライアント機器の更新が迫っており、従来型のPCに代わる新しい端末として、以前からタブレットに興味を持っていました。しかし、当初はWindows以外のOSを搭載した製品しかなく、そのままでは基幹業務システムにアクセスできないため、導入を検討することができませんでした」と説明する。
そうした状況下で、Windows® 7 Professionalが搭載されたタブレットが登場し、いよいよ導入の検討が開始された。
コストパフォーマンスと使い勝手のよさからくる機能美が決め手
宮原氏は、Windows ® 7 Professionalを搭載した製品の仕様をインターネットで調べたり、量販店に赴いて実際に店頭で見たりして比較した。その結果、二つの製品を選び、試験的に導入した。その一つが、日本エイサーの『ICONIA TAB W500P2』(アイコニアタブ)だった。
選定の理由について宮原氏は、「やはり価格と性能の両立が最も重要ですが、機器を選定する立場の我々は使い勝手のよさからくる機能美も重視しています。具体的には、キーボードやボタンの形状、ポートの搭載位置を確認します。そうすると、使い勝手のよい製品は、なぜか意匠的にも破綻がなく見た目も美しい仕上がりになっているのです。特に、ICONIA TAB W500P2は、背面のパネルが一体成型で持ちやすく、操作しやすい点を評価しました。また、バッテリーが内蔵型でパネルに隙間がなく、埃が入って故障する心配がないことも決め手となりました」と語る。
さらに、「以前、庁内で基幹業務システムの端末としてエイサーのデスクトップPCを使った経験があり、性能や信頼性は評価していました」と続ける。
ただし、ICONIA TAB W500P2に対して不安がなかったわけではない。宮原氏とともに同市で情報システムを担当する総務企画部総務課の西野和彦氏は、「ユーザー側で、メモリーや内蔵ストレージの増設ができないことは不安でした。しかし、本市はシンクライアントを導入しており、業務の大半をサーバー側で処理するため、ICONIA TAB W500P2の標準仕様のままで十分な性能が得られ、快適に業務ができることがわかりました」と説明する。
カタログの製品仕様以上に快適なレスポンスと動作速度
ICONIA TAB W500P2を導入した水俣市では、観光部門の担当者が外出先でプレゼンテーションに利用したり、キーボードを使う機会が少ない管理職向けに操作が容易な情報端末として提供したり、窓口で市民に資料を提示したりするなどの活用を想定している。
実際に業務でICONIA TAB W500P2を活用している産業建設部商工観光振興課の瀬本晶菜氏は、「庁舎外での打ち合わせやプレゼン用に、外出時は常に持ち歩いています。スマートで軽い筐体なのでノートPCと比べて持ち運びやすく、外出が多いので助かっています。また、Windows ® 7搭載なので、庁内と同じデスクトップ環境がそのまま外出先に持ち出せて、業務を円滑に進められるのも便利です」と語る。
庁内で導入しているグループウェア「desknet's」を利用する際も高い効果を生み出している。これまで外出先でスケジュールなどを確認する際には、携帯電話やスマートフォンでdesknet'sにアクセスしていたが、画面が小さく使いづらかった。しかし、ICONIA TAB W500P2 ならば画面サイズが10.1インチあるため、データの閲覧に加え、入力などが容易にできるのだ。
西野氏も、「現在、異なるメーカーのタブレットを併用していますが、ICONIA TAB W500P2はカタログの製品仕様以上に画面の反応がよく、動作も速く快適に利用できます。管理者の立場から評価すると、Windows ® 7 Professional搭載なのでActive Directoryでユーザーを一元管理できることと、運用中の基幹業務システムやオフィスソフト、セキュリティ対策ソフトがそのまま利用できることも、コスト面で助かっています」と続ける。
同市では、今回の試験導入の成果を検証して、タブレットの活用を本格化していく予定だ。宮原氏は、「すでに、タブレット用の無線LANを庁舎内に敷設しており、いつでも活用できる環境が整っています。今後、窓口での基幹業務である住民情報や税務情報の利用について検証を行い、窓口で申請者に画面を見せながら説明するサービスを実現したいと考えています。さらに、災害時に対策本部の指揮者が、タッチパネルによる簡単な操作でスピーディに被災情報を収集して、的確かつ迅速に現地に指示を送るといった用途も想定しています」と、活用への意気込みを語る。
今後、現在のシンクライアントを進化させたクラウドの構築によって、災害時でも住民情報を確実に保護できるシステムの構築を目指している。クラウドとWindows ® 7搭載タブレットICONIA TAB W500P2を組み合わせれば、たとえ庁舎が被災しても、速やかに行政サービスの提供を再開できるだろう。
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