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日本教育情報学会傘下の「デジタル・アーカイブ研究会」「教育資料研究会」の 合同研究発表会で、教育用メディア端末としてタブレットを活用する調査研究が発表されました。Japan Society of Educational Information Report 1

2012年02月16日

教育用メディア端末としてタブレットを活用する調査研究
〜 教育のさらなる深化を目指し教育用メディア端末にタブレットの活用が必須

news_120216_1_1.jpg会場となった江別市の札幌学院大学

2011年9月23日、北海道江別市の札幌学院大学において、日本教育情報学会主催による「第13回デジタル・アーカイブ研究会」ならびに「第9回教育資料研究会」が開催された。

「デジタル・アーカイブと教材開発」というテーマに沿って、研究発表と資料発表が合わせて13講演行われ、デジタル化が進む教育現場でのさまざまな取り組みが発表された。日本教育情報学会は1985年の設立で、教育に関する情報について実践的な観点から多様な研究を進めている。「ICT活用支援研究会」「教育資料研究会」「教職開発研究会」「著作権等研究会」「デジタル・アーカイブ研究会」の5つの研究会を持ち、デジタルコンテンツの教育への活用、教育現場の重要課題などについて議論し、研鑽を深めている。

なかでも注目されたのが、教育用メディア端末としてタブレットに着目した研究で、タイトルは「学習者の特性を活かす教育用メディア端末に関する総合的研究【2】」。発表者は株式会社ハイパーブレインの柴田泰示氏、岐阜女子大学教授の久世均氏、同准教授の齋藤陽子氏らである。発表では小型で軽量、安価で操作の習得が容易なタブレットの特長を紹介し、小中学校の教員と教員希望の学生合わせて79名を対象に行った調査結果も示された。

たとえばOSとしてWindows、iOS、Androidのどれを搭載したタブレットが教育現場にふさわしいかを尋ねた設問では、73.8%の回答者がWindows搭載機を選んでいる。その理由は、学校で利用しているOSであり、既存のPCなどの情報機器と整合性があるからとなっている。

また、教育用メディア端末の効果的な利用法については、観察・実験などの体験的な学習に加えて、簡潔でわかりやすい音声・画像・動画などを併せて活用し、理解を進めることに対して62.5%が賛同している。

news_120216_1_2.jpgタブレットを実際に手に持ち講演をする岐阜女子大教授、久世均氏

必要な機能を尋ねた設問では、デジタルカメラ機能、動画撮影機能に加えて、GPS機能を指摘する回答があった。これは取材活動などで地図と連動し、アーカイブとして役立てるためであるという。

また、久世教授はデジタル・アーキビスト育成に関する別の発表で、デジタル・アーカイブの保管庫としてタブレットが有望なツールであると述べた。デジタル・アーカイブには四十数項目からなるメタ情報を含める必要があるが、特に位置情報はこれまで記録が困難であった。しかし、動画にGPS情報をそのまま登録でき、保存・管理・加工も行えるという利点がある。

齋藤准教授は、遠隔交流学習のツールとしてタブレットと電子黒板を融合させ、岐阜と沖縄の子どもたちのコミュニケーションを図るという研究を発表した。

学会発表者たちが語るタブレットの現状と教育現場での活用の可能性

岐阜女子大学 文化創造学部副学部長・教授 久世 均氏 岐阜女子大学 文化創造学部副学部長・教授 久世 均氏

岐阜女子大学 文化創造学部文化創造学科准教授  齋藤陽子氏 岐阜女子大学 文化創造学部文化創造学科准教授 齋藤陽子氏

株式会社ハイパーブレイン 教育システム事業部 マネージャー 柴田泰示氏 株式会社ハイパーブレイン 教育システム事業部 マネージャー 柴田泰示氏

それぞれの立場で教育現場とタブレットを考察しています

──本日はお疲れさまでした。はじめにお尋ねしたいのですが、民間企業の方と大学の先生という組み合わせは、どういった経緯からでしょうか?

柴田私どもハイパーブレインは教育IT化の支援とITコンサルティングをおもな業務とする会社です。私はその中でコーディネーターとして、メーカーさんと学校現場を結びつけていくことを仕事にしています。今回は久世先生たちからタブレットに関して何か情報があればといわれていたところに、たまたまエイサーさんが新しくW500PとA500を出されるというので、ご紹介させていただきました。

──久世先生と齋藤先生は同じ岐阜女子大学の先生ですが、それぞれご専門は少し異なるようですね。

齋藤今回の研究発表でいうと、私は学校教育の現場でタブレットがどのように活かされていくかという現場サイドの具体的な部分を担当しています。

久世私は教材作成やアーカイブを中心に研究をしているので、アーカイブという視点から、タブレットという道具がどのように使え、いかに必要なのか、というところを研究したいと思っています。

柴田今回は、IT業界がこれからどのように教育に関わっていくべきかを学ぶ機会として「教育情報化コーディネーター」の立場で参加、発表させてもらいました。業界と現場を橋渡しするコーディネーターとして貴重なノウハウを蓄積し、メーカーさんにフィードバックしていきたいと考えています。

エイサーがさらに磨き上げた教育用タブレットに期待します

──今日の発表はタブレットがテーマでしたが、エイサーのタブレットについてのご感想をお聞かせいただけますか?

久世今から20年くらい前に、日本教育情報学会で「こういうコンピュータが教育現場に必要だ」という考えが示されたことがあったのですが、それはまさに今日のタブレットの姿をしていました。ハードウェアのめざましい進化で、われわれが夢に描いていたものが実現したわけです。ただし、学校という環境はIT機器にオフィスとは異なったことが求められます。持ち運びやすい紙のように折りたためるような携帯性や、子どもたちが落としても壊れない堅牢性など、今後の製品開発に繋げていただければと思います。

齋藤子どもたちの反応はやはりいいですね。特にWindowsOSのほうがが使いやすく人気です。また、外に出て写真を撮ったり絵を描いたりしたときはAndroidOSに搭載されているGPS機能が、あとで場所を確認でき、便利です。WindowsOSにもGPS機能があれば、なお良いですね。それから、昔の「画板」みたいに、子どもたちが首から提げて持ち歩けるようなストラップをつけてくれるとありがたいですね。

柴田エイサーは世界中で事業展開をしている企業なのですから、その立場を活かしてワールドワイドで展開が可能な教育機器を提案していただきたいと考えています。具体的には、グローバルな視点からの教育用メディア端末、加えて教育用コンテンツも開発していただけると、ハード・ソフトともに世界水準のものが教育現場で使えるようになると思います。

→タブレット製品一覧はこちらをご覧ください。