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直販をしないとなぜ儲かるのか?!~日本エイサー社長、その秘密を明かす~Acer Partnership Business Conference in OSAKAリポート

2010年12月17日

日本エイサーは11月11日、大阪市内のホテルで「Acer Partnership Business Conference in OSAKA」を開催した。acerブランドで日本市場に本格参入してから初の販売店対象セミナーであり、直販モデルとは違う、販売パートナーとの協業によるアドバンテージについてメッセージを発信した。

サーバは集約化 クライアントは多様化へ

20101213_acer_01.jpg基調講演で登壇した株式会社野村総合研究所 情報技術本部 技術調査部 上席研究員の城田真琴氏

セミナーは、株式会社野村総合研究所 上席研究員の城田真琴氏による基調講演「クラウド第二章の幕開け~多様化するデバイス、変わるワークスタイル~」でスタートした。城田氏は、話題が先行していると言われるクラウド・コンピューティングについて、具体的な数値を示しながら、大企業がけん引する現在の利用状況を説明した。

ITシステムを所有するのではなく利用するという視点で考えれば、クラウドの合理性は明らかであり、大規模な初期投資が不要なことやサーバの運用管理も不要になるなど、コスト削減効果は大きい。日進月歩の技術進化の中で、購入したハード機器がすぐに陳腐化するというリスクから解放され、緊急ニーズなどにも臨機応変に対応でき、先が予測できない新規事業などにも柔軟に適用できるなど、ビジネスアジリティを向上させるクラウドの効果を説明した。

クラウドの普及によって、サーバ側が統合される一方で、クライアント側はスマートフォンやタブレット端末などの台頭によって、多様化するという変化も指摘した。

収益共有型の インダイレクトビジネス

20101213_acer_02.jpg特別講演で登壇した日本エイサー株式会社 代表取締役 社長のボブ・セン氏

日本エイサーによる特別講演「~世界一のパートナービジネスを目指して~収益共有型のインダイレクトビジネスとは」では、「今なぜacerなのか」について、「acerを扱って儲かるのか」「acerは扱いやすい商品か」「acerの将来性はどうだろう」という3つの疑問に分けて簡潔に説明した。

昨年のacerパソコンの世界シェア(出荷台数ベース)は2位で、1994年当時の8位と比較すると格段の成長を遂げた。2000年から昨年までの9年間で売上は約9倍と、世界のPCメーカーの中でも抜きん出た伸び率だが、この成功の最大の要因は、販売についてはすべて販売店パートナーに任せるという直販を一切行わないacerのパートナービジネスモデルにある。PCメーカーの役割とは、研究開発とマーケティング、ブランディングにあるとacerは考えている。

20101213_acer_03.jpgacerのパートナービジネスを紹介した日本エイサー株式会社 マーケティング部 マーケティングコミュニケーション課 マネージャーの瀬戸和信氏

インダイレクトビジネスをPC分野で徹底しているのはacerだけだが、このビジネススタイルが販売店の利益につながり、ひいてはacerの躍進にもつながっている。

日本市場においてacer製品は、2005年から2010にかけての5年間で実に1440%の成長を遂げた。それを支えたのは、世界市場を相手にしたスケールメリットによるacer製品のコストパフォーマンスの高さである。また、現在の端末市場は多様化が進んできているが、acer製品の品揃えは幅広く、ユーザーの要望に合致する商品を世界規模で提供してきており、更に本領を発揮しやすい環境にあると言えよう。

今求められるPCとは

20101213_acer_04b.jpg左から順に鳥取短期大学 地域交流センター長の野津伸治教授、愛知産業大学 学生部教務学生課の原知之課長、福島工業高等専門学校 一般教科情報の布施雅彦准教授がパネリストとして登壇(モデレーターは本誌編集部の畔上文昭)

次に行われたパネルディスカッションでは、「ユーザーに聞く!クライアント選定はここで決まる!今求められるクライアントPCとは」をテーマに、パネリストとして鳥取短期大学 地域交流センター長の野津伸治教授、愛知産業大学 学生部教務学生課の原知之課長、福島工業高等専門学校 一般教科情報の布施雅彦准教授が登壇し、acerパソコンの採用理由や販売パートナーの重要性などについて、率直な感想が述べられた。

小型デスクトップPCのAspireRevo(アスパイア・レボ)を導入した鳥取短期大学では、学生が自由に使える端末としてacer製品を導入。eラーニングのストリーミング受信用として活用していることもあり、「フルハイビジョン対応など、ビデオ描画能力1つを例にとっても、acer製品には一貫したポリシーを感じている」と野津教授は語った。

福島工業高等専門学校は、学内SNSなどを介して学生同士が情報共有するための端末として、Aspire one(アスパイア・ワン)を導入。「ネットブックで大容量バッテリーを提供できたのは、当時、acerのみだった。結果的にメーカーがacerとなったことについては大いに満足している」と布施准教授は評価している。

20101213_acer_05.jpgWindows 7がもたらすメリットなどを紹介したマイクロソフト株式会社 OEM統括本部 OEMマーケティング シニアマーケティングスペシャリストの箕輪陽子氏

愛知産業大学は、新入生が卒業まで使用する端末としてAspireOneを採用した。「学生が4年間使い続けるため、4年間の保守体制を完備できるメーカーを探したところ、そのリクエストに特別に対応してくれたメーカーがacer だった。使い勝手の良さから、今後もacer製品を採用していきたいと考えている」と原課長は語った。

20101213_acer_06.jpg販売パートナープログラムなどを紹介したダイワボウ情報システム株式会社 取締役 営業推進本部長兼営業企画部長の西田善紀氏

また、マイクロソフトによるセッション「Windows 7 Professionalで加速化するビジネス」では、Windows 7の機能および操作性を紹介するとともに、Windows 7を活用することによって従来のビジネスがどのように変化するのかについて説明した。ダイワボウ情報システムによるセッション「acer販売パートナープログラムのご説明」では、販売パートナープログラムの紹介に加えて、メーカーの品質管理体制に加えたダイワボウ情報システムでの最終検品体制というダブルチェック体制が紹介され、これが初期不良率が0%に限りなく近い理由であると説明した。

95社117人となった参加者は最後まで熱心に聞き入り、盛況のうちにセミナーは幕を閉じた。

(CIO Magazine 2011年1月号に掲載)