導入事例

デジタルと専門分野を学ぶ高専生をサポートする裸眼3D立体視テクノロジーノートパソコン

石川工業高等専門学校様

導入モデル:ConceptD 7 SpatialLabs™ Edition 「CN715-73G-SL76Z」

ノートブック 学校・教育

「人間性に富み、創造性豊かな実践力のある研究開発型技術者育成のための高等教育機関」を基本理念に掲げる石川工業高等専門学校。昭和40年に設置された同校には、機械工学科、電気工学科、電子情報工学科、環境都市工学科および建築学科の計5学科があり、中学を卒業した約1,100名の学生に、5年間の一貫した専門教育を行っています。環境都市工学科で教鞭をとる新保泰輝 (シンボ タイキ)准教授は、社会に求められる人材を育成するために、デジタルと専門分野を掛け合わせた「産業DXを牽引する高度な専門教育」を実践しています。その取り組みの中で、裸眼3D立体視ConceptD 7 SpatialLabs™ Editionを授業に活用し、3D地形データの計算から3D立体視までの一貫したデータ制作を実践しています。

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Interview


社会に求められる産業DX人材の育成に取り組む
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「令和5年版の国土交通白書によれば、『デジタル化で変わる暮らしと社会』というテーマで、その内容の約半分が国土交通分野のデジタル化について書かれています。AIによる自動運転やICTを活用したi-Construction(アイ・コンストラクション)だけではなく、防災やまちづくり、交通や物流にインフラ分野まで、デジタル化施策の必要性が明記されています。こうした時代の変化に追随し、社会が求める産業DX人材を育てていくためには、当校の専門分野に関する知識に加えて、最先端のデジタル技術を学生に学んでもらいたいと考えています」と石川工業高等専門学校の環境都市工学科の新保泰輝 准教授は切り出します。

同科では、都市施設などの整備に関する技術を中心に、道路に橋や港湾などの公共施設の建設技術や、自然環境との調和、うるおいのある生活環境への配慮など、広い視野を持った技術者の育成を目指しています。その教育のために、CAD演習室や環境工学実験室、構造材料施工や試験、水理実験に測量、土質実験など、豊富な実験・実習室を整備しています。新保 准教授は、「地震時の土構造物の破壊に関する研究」をテーマに防災や減災に関連する授業だけではなく、行政機関への協力も実践しています。

その取り組みの一環として「『 防災すごろく』という防災教育ゲームを開発して、VRゴーグルで災害を仮想的に体験してもらい、防災意識を高めてもらうソフト対策にも協力してきました。ただ、そのときに感じたのは、VRゴーグルによる3D体験の限界でした。3Dを体験してもらうために、VRゴーグルだけではなくコントローラーやケーブル類と高性能なパソコンを準備しなければなりません。それだけの機器を防災体験の会場に搬入するだけでも大変です。また、授業でVRゴーグルを使ってみると、装着を敬遠する学生もいました。髪型が崩れるなど敬遠する理由はさまざまですが、やはりVRゴーグルの窮屈さと、一人ひとり着脱しなければならない手間が、授業には不向きだと感じました」と新保 准教授は、これまでの課題を振り返ります。

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ノートパソコン型の裸眼3D立体視テクノロジー搭載
製品に注目し導入を検討

VRゴーグルによる3D体験の限界を感じた新保 准教授は、裸眼で3D体験を可能にするデバイスのリサーチを開始しました。その過程で「海外で開発された、特別なメガネが必要な3Dディスプレイを見つけました。その輸入販売を行っている会社に問い合わせたところ、1台での販売は無理で、7台まとめての購入を求められました。購買条件に見合わなかったので、そのディスプレイの導入は見送ったのですが、その後も3D立体視に対応したデバイスをリサーチしていました。そんなタイミングで、たまたま2022年4月に日本エイサーがノートパソコン型の裸眼3D立体視テクノロジー搭載製品を発表した、というニュースを見てすぐに問い合わせました」と新保 准教授は、ConceptD 7 SpatialLabs™ Editionに注目した経緯を説明します。

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3Dにシビアな電子情報工学科の先生も唸らせた
ConceptD 7 SpatialLabs™ Editionの裸眼3D立体視

裸眼3D立体視テクノロジーを搭載したノートパソコンのConceptD 7 SpatialLabs™ Editionに興味を抱いた新保 准教授は、日本エイサーに連絡して実機によるデモンストレーションの機会を得ました。「実機を持って当校に来てくれるというので、いろんな学科の先生方にも声をかけて、裸眼3D立体視を体験してもらいました。その中には、3Dビュワーにはシビアな意見を持つ電子情報工学科の先生もいたのですが、ConceptD 7の裸眼3D立体視には、想像していたよりも好評価をもらいました。素直に『凄いな』という感想を漏らしていました」と新保 准教授は第一印象を振り返ります。

デモンストレーションで裸眼3D立体視の性能を実感した環境都市工学科では、3D地形データを計測する高性能なレーザー光計測装置などを含めて、i-Construction(アイ・コンストラクション)を実践するためのDX授業に必要な教材として、ConceptD 7 SpatialLabs™ Editionを導入しました。新保 准教授は「レーザー光で測定した膨大な点群データを高速で処理するためには、高性能なGPUも必要になります。また、研究室や教室で利用することを考えると、ノートパソコンの形状は移動が容易なので便利です。その上、裸眼3D立体視を授業でも利用できるので、ConceptD 7 SpatialLabs™ Editionを選定しました」と説明します。

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驚きをもって受け入れた学生の中には
3D CADとの連携を模索する者も

2022年6月からConceptD 7 SpatialLabs™ Editionを授業で使い始めた新保 准教授は「学生たちからは、VRゴーグルとは違う驚きの反応が得られました。過去の授業で利用した橋の構造図や学校の敷地を3D化したデータなどを3D表示アプリのSpatialLabs™ Model Viewerで学生に見てもらうと、初めて立体3D映像を目にした学生は『おおっ』とか『凄い』といった感想を声にします。また、アイトラッキングにより顔を左右に動かすと、3Dモデルの見える角度も変わるので、構造物をより立体的に認知してもらえます。学生の中には、3D CADと連携させて設計中の建築物を裸眼3D立体視で確認しながら作業したい、と要望してくる学生もいました」と導入の効果を語ります。

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SpatialLabs Unityプラグインで
さらなる期待と可能性が膨らむ

ConceptD 7 SpatialLabs™ Editionの導入から約1年が経過した2023年5月25日に、3D立体視を実現するSpatialLabs開発者向けツールとして、SpatialLabs Unityプラグインが発表されました。Unity Technologiesが開発・販売しているゲームエンジンのUnity(Unity3D)は、ゲーム開発だけではなく、教育、建築・建設、医療など様々な分野で利用されています。新保 准教授は「Unityプラグインのサポートにはとても期待しています。Unityなら数値解析の結果も簡単に出せるので、過去に計測や設計してきた3Dデータを授業に活用できるようになります。さらに、地震や津波に浸水などのシミュレーション データも、変換などの手間をかけずに短時間で裸眼3D立体視で表示できるので、これからが楽しみです」と期待を膨らませます。

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夢は45台のAcer SpatialLabs™モニター導入による
一人一台の裸眼3D体験授業

今後に向けた取り組みについて「夢物語かも知れないですが、45台のAcer SpatialLabs™モニターを教室に導入して、学生一人ひとりが同時に裸眼3D立体視を体験できる授業をしてみたいです。それだけ、SpatialLabs™による裸眼3D体験にはインパクトと教育的な効果があります。おそらく、学生が自分で作っているCADデータなども、3D立体視でフィードバックできるようになれば、設計精度も高くなるでしょう。また、建築や土木の分野でも、3Dで確認できるようになれば、解析の方法なども改善されていくと期待されます。当校が目指している教育は、デジタルと専門分野を学んだ人材の育成です。裸眼3D立体視テクノロジーノートパソコンを活用した授業は、環境都市工学科で学ぶ学生たちに、最先端の3D体験とデジタルスキルを身につける機会を提供してくれると思います」と夢を語ります。

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新保泰輝 准教授 プロフィール

2006〜2009年 金沢大学大学院、自然科学研究科博士課程後期、環境科学専攻
2009〜2016年 五大開発株式会社、技術研究所、主任研究員
2017〜2019年 石川工業高等専門学校、環境都市工学科 講師
現在 石川工業高等専門学校、環境都市工学科、准教授

石川工業高等専門学校 環境都市工学科

都市施設などの整備に関する技術を学ぶ学科。 道路や橋、港湾などの公共施設の建設技術を身につけ、広い視野を持った技術者の育成を目指している。卒業生は、民間の建設会社をはじめ官公庁や鉄道・高速道路・ガス・電力などのインフラ関連企業、道路・橋梁や都市の計画や設計を担当するコンサルタント会社などに就職している。
https://www.ishikawa-nct.ac.jp/

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裸眼3D立体視ノートパソコン
ConceptD 7 SpatialLabs Edition
「CN715-73G-SL76Z」

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