導入事例

学生向けの貸出端末にChromebookを採用することで
端末管理の負荷軽減と使い勝手の良さの両立を実現

国立大学法人 東京農工大学様

導入モデル:Chromebook CB5-311-FF14N〈ノートブック〉、Chromebox CXI2-F14K〈デスクトップ〉

デスクトップ ノートブック 学校・教育

明治7年に政府の農業関連施設として開設され、東京帝国大学農学部実科という位置づけを経て、現在に至る東京農工大学には、蚕の研究を源流とする農学部と、生糸の機械製造を源流とする工学部がある。いずれの学部も大学院生が多いのが特徴で、工学部は8割が大学院に進学する。ITを活用した授業に取り組む同大学では、端末の管理を簡素化するために仮想デスクトップを活用し、今年4月からは学生向けの貸出端末や図書館の業務用端末としてChromebook / Chromeboxを採用している。導入の経緯と効果について話を聞いた。

どこでも同じ環境を提供するため仮想デスクトップの導入を検討

国立大学法人 東京農工大学

東京農工大学では、早い時期から授業にITを活用してきた。
学生がどこにいても以前の内容を引き継げる移動プロファイルの仕組みを導入したのは1991年ごろのことだ。「どこでも同一の環境で授業が受けられるITインフラを追求してきました。そのためには、管理しやすい端末の形態が必要だったんです」と総合情報メディアセンター講師の櫻田武嗣氏は語る。
当時の環境ではOSのバージョン管理や更新プログラムのアップデートなど管理作業に手間がかかるため、同大学ではVDI(仮想デスクトップ)の導入へと舵を切る。「2000年ごろからVDI 導入の構想を持っていたのですが、当時は実用レベルのソリューションがありませんでした。良いソリューションが出てきたのは2006年ごろから。そこから具体的な検討を始めて、4年後の2010年にVDIの導入に踏み切りました」(櫻田氏)。

ようやく見つけ出した"シンクライアント"

国立大学法人 東京農工大学国立大学法人 東京農工大学 総合情報メディアセンター
講師 博士(工学) 櫻田 武嗣 氏(左)
助教 博士(政策・メディア) 三島 和宏 氏(右)

それから5年が経ち、システムのリプレースのタイミングでクローズアップされたのが「持ち込みPCをメイン」とした新たなITインフラの構築だった。いわゆるBYOD(Bring Your Own Device)である。多くの学生がすでに自前のPCを持っている。それをつなぐだけであれば管理面での手間も不要になる。
しかし、大きな課題がそこにはあった。システムを構築する上でのライセンスの問題だ。総合情報メディアセンター助教の三島和宏氏は「通常のVDIでは一人一つの仮想デスクトップが割り当てられ、その分のソフトウェアのライセンスが必要になります」と解説する。総合情報メディアセンターが担当するのは、あくまでも学部の基礎科目の授業で利用するITインフラ。
「基礎科目に対応するためだけに、端末やITインフラに大きな費用はかけられません」と三島氏。そんな時にユニアデックスが提案してきたのは、VDIとSBC(Server Based Computing)の組み合わせだった。
SBCであればブラウザさえあればサーバに接続できる。持ち込みPCでもOKだ。一般的なVDIとは異なるアプローチだが、基礎科目の授業での利用する分には特に問題はない。ただ、持ち込みPCが前提とはいえ、大学として貸出用の端末を用意しておく必要がある。端末として櫻田氏たちが注目したのは"Chromebook"だった。

AcerのChromebookによって念願の理想の環境を実現

国立大学法人 東京農工大学 貸出端末として利用されているChromebook。
牛のキャラクターシールがかわいい。

「GoogleのSEからChromebookのロードマップを聞いていて使えると思っていました。ただ、ネックもありました。HDモデルのChromebookだと解像度が低くてVDIでは使えない。フルHDモデルが必要だったんです」と櫻田氏。加えて、無線で接続するために5ギガの無線規格への対応が必要だった。
しかも、当時、フルHDモデルを販売していた他社メーカーの製品はアメリカ限定モデルで、国内では提供できないことがわかった。三島氏は「Chromebookの機能を理解して一定の需要があるアメリカと、価格が安いというイメージだけが先行している日本では、メーカーの取り組み姿勢にも違いがあると感じました」と語る。
前途が閉ざされていた時に、櫻田氏たちはAcerのサンプル製品に出会う。

国立大学法人 東京農工大学Chromebook 上で Microsoft Officeが起動し、想像以上にサクサク動く。これなら事務作業も問題ない。

2014年11月のことだ。「アメリカ最大の家電ショウ、CES(Consumer Electronics Show)のスナップショットにその製品が写っていたんです。写真を拡大してみると裏面に無線認証の技適マークが付いている。これなら日本でもそのまま使える、と考えました」(櫻田氏)。早速、Acerに打診してみると日本での販売に前向きな手応えがあった。「私たちは急いでいたので、英語のキーボードで構わないといったのですが、日本語キーボードまで特急で用意してくれました。素早い対応に感謝しています」と櫻田氏は語る。しかもChromebookには端末の管理機能があり、IDの管理をGoogleAppsの中で行える。「シンクライアントより安くて、シンクライアントのように使える」(三島氏)Chromebookは、同大学が求めていた理想の端末だったのである。

今後は事務端末としてChromebook / Chromeboxの展開を検討

同大学ではこれを機会にChromeboxの業務用端末への展開も検討している。「図書館ではChromeboxで、VDI上のMicrosoft Officeにログインして事務文書やラベル作りを処理しています。同じように事務システム全般でも使えないかと学内でテストしているところです」と櫻田氏は語る。今後同大学でどこまで活用が広がるのか、楽しみである。

国立大学法人 東京農工大学Chromeboxは図書館業務に利用非常にコンパクトでモニターの背面に設置可能なためデスクスペースも有効活用できる
国立大学法人 東京農工大学40台一度に充電・格納できるラック

TCO にメリットがあって用途も広いChromebook

国立大学法人 東京農工大学ユニアデックス株式会社
営業第二本部 第三営業統括部
営業第一部 グループマネージャー 八巻 秀欣 氏

もともと同大学のVDIの構想にあった端末を探していて、シンクライアントを比較検討していたのですが、コストや解像度の面で課題を抱えていました。そんな時に知ったのがChromebookの存在です。ただ、フルHDではなかったので諦めかけていた時に日本エイサー様から「何とかしましょう」と言ってもらえて、道が開けました。実際に導入後はOSのアップデートやマニュアルの用意、貸出から戻ってきたときのリフレッシュの手間や管理サーバのデータ更新が不要など、運用の負荷が大幅に削減できていてます。

関連事例

デスクトップ ノートブック 学校・教育